Vincent web magazine - The Blondenote -


セリフにない背景をファッションからひも解く
生活の質を高めていくヒントが、そこにある

今回の講座のテーマは映画から読み解くライフ・スタイリング。数々の映画のシーンをスクリーンに投影しながら、スタイリストとDJならではの目線で捉えた、通常の映画批評とは異なる切り口で、ライフスタイルに落とし込めるアイデアソースを浮き彫りにしていきました。

「DVDや劇場、移動中の飛行機で、週に4〜5本は映画を観ている」という沖野修也氏。
「映画に影響されやすい。ファッションも、お酒の飲み方や…音楽も」と語る祐真朋樹氏。

最初のテーマとなったのは「007」シリーズに見るジェントルマンスタイル。「ベスト・オブ・ボンドはショーン・コネリー。ダニエル・クレイグのモダンなスタイルもあり。その他は無し!(笑)」という秒殺な回答から理由が掘り下げられます。ファッション、女の口説き方、お酒の飲み方、嫌みのない所作。例えばカジノやパーティーにて、ここ一番でのドレスアップ。

「パーティーには恥ずかしい格好をして行こうとすればいいんじゃないですか? 『キメちゃおう!』みたいな。さりげなく、○○なテイストでハズして…とか、みんなハズしちゃったらパーティーじゃないってたまに思う」。「みんな照れ隠しになっちゃうと、みんな結局下はジーパン、穴開いてるみたいな(笑)。それは昼間でええやろ!と。たとえものすごく浮いてても、それもいい」。

続いてボンドガール、ゴダール作品へのレビューをきっかけに、コミュニケーションの質について言及。

「ボンドもそうだし、ゴダール作品も、パルプフィクションのブルース・ウィルスもそう。ベッドルームでの会話が長い。ピロートークじゃない、いやらしい話じゃない。センスが問われるんです」。「それがキーになることが多いんです。いろんな映画の中で。騙す騙されるだけじゃなくて、日本人に足りていないコミニュケーション。自分たちの生活の質をあげるヒントも、そこにあるんじゃないかと」。



ゴダール作品、Qタランティーノ作品からは、ファッションが持つ視覚効果、衣装でのみ無言で語れるストーリーといったテーマに踏み込みました。

「勝手にしやがれ」ジャン=ポール・ベルモンドの着ている洋服は、なぜサイズが大きいのか。「パルプフィクション」ジョン・トラボルタが、ディナーにループタイを選んだ理由。「レザボアドッグス」低予算のなかきっとノーブランドであろう、ブラックスーツの群れが持つ意味。監督はそこになにを掛けたのか。

映画の台詞でその理由が説明されることはない。ファッションの知識を持たない映画批評家では気づくことができない、それぞれのシーンの背景がひも解かれました。

「ファッションって言葉にできない。見て終わり。説明した時点で駄作になる。説明しなきゃいけないファッションほど、アウトってことだよね」。逆にファッションでしか伝えられないものはなにか? 参加者は明確に掴むことができたのではないでしょうか。

スタイリストが映画を語る、DJが映画を語る。こういった機会は巨大な都市、例えば講師お二人の拠点のひとつである東京では実現しにくいことです。
ファッションはファッション、アートはアート、音楽は音楽。それぞれのシーンの規模が大きくて混ざりあうことが難しい。逆に地方都市のメリットは、それぞれのシーンの距離感が近く、このイベントのようなカルチャーミックスが生み出しやすいこと。さらに、広島の街並みに感じるモダンさは、他の都市にはない持ち味だとという、ひとつのヒントも投げかけられました。

最後のテーマは「仁義なき戦い」に見るファッション。
ここで講義は終了し、映画上映「仁義なき戦い」に転換していきます。

「やっぱりおもしろい。ヤクザ映画ではないと思うんですよ、単純な」。
「仁義なき戦いってそんなにお洒落かな?と。でも、松方弘樹の最後のシーン」。
「お洒落なんですよ。キメキメなんです」。



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